愛知県内の養豚場で豚熱(CSF、豚コレラ)の感染が確認されてから2年がたった。その養豚場、トヨタファーム(豊田市)は今、再建の途上にある。1週間にわたった殺処分、「感染拡大の犯人」とみなされた苦労、恐る恐る踏み出した再出発の経緯――。鋤柄(すきがら)雄一代表(51)が複雑な心境を語った。
――豚熱の感染が判明したのは2019年2月6日。少し前から異変があったそうですね。
「食欲不振の豚が急激に増えていました。当時は(繁殖用の)母豚が1千頭いましたが、通常でもあまりエサを食べない豚が2、3頭はいます。それが1週間くらい前から日に日に増えて、50~60頭に達した2月4日に県に連絡して採血の依頼をしました」
「そのときは豚熱の検査ではなかった。食欲不振というのはいろんな病気でみられる症状です。死ぬ豚の数も通常と変わりありませんでした。私は当初、殺処分の必要がないPRRS(豚繁殖・呼吸障害症候群)という病気を疑いました。食欲不振以外の症状はみられないし、家畜保健所から来た職員も豚熱の話はせずに『1回採血してみましょうか』っていう感じだったんですよ」
感染確認、震え止まらず
――ところが豚熱だった。
「翌5日の午後に電話で、白血球の数が異常に多いと言われました。これは豚熱の症状の一つで、本格的な検査にかけることになりました。豚熱と確定したのはさらにその翌日の午前3時です。頭のなかが真っ白になり、震えが止まりませんでした」
「問題になったのは私が5日の…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル